コルネとオーヴェは、町を出て道の上を歩いていた。
「うへへへへ」
コルネは時々笑っていた。

4いきなりというコトも、ある

ふと足を止めるオーヴェ。
「コルネ」
「なに?」
「お前の家ってどのへん?」
今思い立った疑問をコルネにぶつけるオーヴェ。
「しらない」
「知らないのかよ!」
「だってー・・・今までとおくにいったこと、なかったもん」
コルネ、はじめてのおつかい。

「お前、ホントどんな用事頼まれたんだよ」
「んーと、んーと・・・」
父から頼まれた用事がどうしても思い出せないコルネ。
「わすれたから、おとーさんにききにいかなきゃ」
「ったって、家の場所覚えてないんだろ?どーするんだよ」
「どーしよ・・・」

困り果てるコルネとオーヴェ。何をすればいいのかさっぱりだ。
「何か頼みごとのメモとか、家の場所の手がかりとかないのか?」
オーヴェはコルネに聞いてみる。
「えっとねー・・・おとうさんからこんな紙きれもらったの」
「どれどれ・・・”肩たたき券 3回分”」
・・・
「いらねえええええ!」
これじゃあ手がかりにならない。
「まあいいじゃん。あるいてればそのうちつくよ。きっと」
「無理だろ・・・」
当てもないので、仕方なく2人はそのまま歩き始める事にした。

・・・
2人は、のんびり歩いていた・・・
・・・
2人は、ゆっくりと歩いていた・・・
・・・
2人は、
「もういいよ」

・・・

落ちた。
「わあああああぁぁぁぁーーー」
つり橋を渡る途中、オーヴェが足を滑らせて落下してしまった。
「あっ、オーヴェ!!」
コルネはとっさに手をのばした。
「つかまって!」
オーヴェはコルネをつかんだ。

つかんだのは手じゃなくて、髪だった。
「ふいぁあ゛あ゛あああーーーー!!」
コルネは傷みのあまり大声を上げた。
そしてつり橋のロープをつかみ、渾身の力を込めた蹴りを思わずオーヴェに喰らわせた。
「やめ
ギャ!ああぁーーーー・・・」
オーヴェは、そのまま落ちてしまった。

「あっ、オーヴェー!」
叫んだが無駄だった。
「・・・かみのけいたい・・・」
コルネは傷みで頭をおさえた。

「オーヴェ、おちちゃった・・・」
コルネは困った表情で言った。
言ったところでオーヴェは戻ってこない。自分で落としたし。
落ちる原因を作ったのはオーヴェだけど。
「下にいったらオーヴェいるかな、さがしてみよう」
コルネはつりばしを上下に1mくらいゆらしながら渡った。

橋を渡り終えると、どこからか歌が聞こえてきた。
「ぁあ〜人生〜の〜、つり橋〜はぁ〜♪」
至ってヘタクソである。
「落ち〜るか〜、わたるかぁ〜、う〜んめいに〜わか〜れ〜みち〜♪」
オーヴェは落ちちゃったけどね!
コルネは声のするほうへ歩いていった。

「わたぁしがぁ〜、おちぃ〜てぇえぇもぉぅ、かなしまなぁいで〜くださぁ〜い〜♪」
声の主が見えた。
肌は浅黒く、半そでのアロハシャツを着て半ズボンをはいているおじさんだった。
そして
すごいアフロ

「るるる〜るるる〜♪」
歌が終わった。
コルネは、アフロおじさんに向かって盛大な拍手を送った。
「ブラボー、ブラボーッ!その魂揺さぶる歌にワガハイ、感動したッ!」
「すごいわ!あなたならK-1グランプリに出られるわよ!」
「ヒュー!プロ顔負けですなぁ!」
上の3つはコルネのセリフです。

「僕の歌をそんなにホメてくれるなんて・・・!君は見る目があるんだね!」
アフロおじさんは喜んだ。
見る目っていうか、聞く耳だけどね!
「感想を聞かせておくれ」
「うん、塩がきいてておいしかったよ」
「味!?」
コルネはピーナッツを食べながら感想を述べた。あれ?聞いてない?

「キミはなんていうんだい?」
アフロおじさんが聞いてきた。
「いつもうへへへって言うよ」
「それ名前じゃないよね!?」
コルネは意味を履き違えたようです。
「わたしコルネっていいますよろしくうひぇひぇひぇひぇ」
普段以上に変な笑い声を立てて自己紹介するコルネ。やめて。

「コルネかぁー。可愛い名前だねー」
アフロおじさんは爽やかに笑った。
理科の実験に失敗してなおも歌いつづけるおじさんは、なんて名前?」
「理科?」
実験失敗=爆発=アフロヘアー。
「よく分からないけど、ボクのことはジェーポ君って呼んでおくれよ。」
とりあえずアフロおじさんことジェーポ君は答えた。

「もう1曲聴いてくれないかな」
ジェーポ君がコルネに言った。
「うーん、ききたいのは山々だけど・・・わたし、オーヴェをさがさなきゃ」
コルネは残念がりながら答えた。今はオーヴェが心配だ。
「それならいい考えがあるよ。ボクはこるねと一緒にオーヴェって人をさがすよ。
歌いながら行くんだ。そうすればきっとすぐに見つかるし、楽しいよ!」
「おお、ナイスアイデア!それならいっしょに行こー!」
ジェーポ君の提案により、コルネはジェーポ君と一緒にオーヴェをさがすことにした。

「幸せ〜ならば Hand clup! CHA-CHA!」
「YAPPY!」
「幸せ〜ならば Hand clup!YAPPY!」
「UHEHEHEHE!」
2人はよく分からない歌(?)を熱く歌いながら歩いた。


「ナンジャーーーイ!」
モンスター出現。
何じゃーいという叫び声がなんとも怖い。変な魔物だ。
「めっちゃ怖ーーー!」
ジェーポ君が恐怖のあまり震え上がった。
しかし、コルネは動じなかった。
「ジェーポ君!こういう時こそ歌だよ!歌って元気になるんだよ!」
コルネは叫んだ。
「し〜あわっせなっらっ、だいっちをっふっみなっらっせ!」
コルネに少し元気付けられ、ジェーポ君も声を震わせながら叫んだ。
「ヤー、ハァ!げんっきがいっち
ぶべしっ!
ジェーポ君が魔物にふっとばされた。
「あーれー」
「あっ、ジェーポく
ばげらっ!
コルネもふっとばされてしまった。


美しい回転を加えながらコルネはすぐそばの崖から落下した。
そして

ヒューーーーー……
ゴチン!

「いでぇーっ!」
オーヴェにぶつかった。
こうして二人は無事再会できたのである。
「オーヴェー!あいたかったよー!」
何か忘れている気がしたコルネだったが、再会の喜びにそれも忘れ、
オーヴェと共に歩いて行った。